COOにならなかった理由

掲題の件、ずっと書かなきゃなーと思いながらついついまとめられずに引き延ばしてしまった。完全には答えが出ないのだけど、どこかで棚卸をしておかないと第二第三の悲劇?が起きそうなので、そろそろ書いてみる。

この一年の間に二社から、COO的なポジションでやってくれませんか、というお話をいただき、結局二社とも断った。それ以外にもちょこちょこ現地社長的なポジションやりませんか、とか、もっとざっくばらんに見知らぬ会社のCOOとか興味ありませんか?というお話をいただくこともある。大手IT企業に転職したMBAホルダーたちは、数年たってLinkedIn経由でヘッドハンティングのお知らせちょこちょこ来るよーなどと言うのだが、あいにく私はほとんどそんなものを受けることはない。同じIT系でも私の取っている道は微妙に違うのだろう。でもヘッドハンターには好かれないけど、起業家や投資家さん経由ではこういうお話をまれにいただく。それはありがたいことのような気がするし、自分が選んできた方向性のような気もする。

COOというのは正直自分ではいい落としどころかなーと思っていた。私の履歴書は言いようもなく汚く散らかっており、営業としてもプロダクト開発としても中途半端。別にエンジニアでもデザイナーでもないし、それになる気もないし。営業4年と開発ディレクションもどき4年っていうと、もう端と端すぎて目をしかめるしかない。(あげく最初のキャリアが花屋で色々説明が面倒)一応MBAもっているんですが・・・・。こういうバラバラな経験が唯一重宝されるのがCOO。営業の話もできる、開発の話もできる、ストラテジーの話もできる、一応会計やファイナンスも全く意味不明ではなく、自分で会社とかも作ってきたので税務や法務とかの細かい業務もないがしろにしない。ここにx海外、特にx発展途上国という要素が入ってくると、なかなかいない。(ちょっと話がずれるが、個々の経験が重要なのではなく、結局CEOであれCOOであれ求められるのはそういう異なる人たちをつなぐコミュニケーション力なのだと思う。少なくとも私がやるならそういうものをないがしろにしない人になりたい。)

なんだけど、結局私はそういうCOOオファーを断ってしまった。なんでなんだろう。

一言浮かぶのは”Simply because I’m not ready yet.”ということだ。自分より最適な人材は少ない、と思う一方で、私は自分がCOOという役割に耐えられる気がしない。多分私はがんばってCOOをやるだろう。けれどもそのとき、例えば出張が多くなったり、あるいは住む場所が変わったり、好き勝手に旅に行けなくなったり、いつでもモバイルを握りしめていなければならなくなったりするだろう。泳ぐ時間も走る時間も料理する時間もピアノを弾く時間も減るだろう。よしんばそういうものを全部キープしたとしても、それをキープしている自分がどこか100%一生懸命できていないのではと罪悪感を感じるだろう。もっと速く進まなければだめだ、と思う気持ちと、みんなにわかってもらって一人ひとりが考えて動けるようになってほしい、という気持ちはぶつかるだろう。そしてそのとき、焦りや苛立ち、自分がまちがっているのではないかという不安、自分がみんなに受け入れられていないのではないかという恐怖、だからこそ自分が正しいと証明したい征服欲のようなもの、そういうものに自分がまみれて冷静さを失い暴言を吐いていくだろう。

私はそういうものに耐えられるほど強くない。一生そう強くはならないのかもしれないし、いつかなるのかもしれないし、それはやってみないとそういう世界には行けないのかもしれないし、あるいはそんな思いをしてまでそういう世界に行きたいとは思っていないのかもしれない。

今の時点で、それ以上にクリアな答えはないのだけど、幸いなことにお断りした会社からは、それでも手伝ってほしいという合意を得て、いつも通り業務委託として手伝っていたりする。何ができるのかはわからないけれども、ポジションを取ったらできなかったことを色々実験しながら、会社に貢献しつつ、自分が楽に呼吸をしていける仕事の仕方を見つけられればいいなと思う。

ところで話が飛んでしまうのだけど、知人のビール好き(ビールクズ)な人たちと飲んでいたときに、ビールの淹れ方には「香りをふわっと広げる」「香りを閉じ込める」の二つの異なる方法があるという話になった。なんのこっちゃなのだけれども、私がトライしようとしているのはもしかすると「香りを閉じ込める」淹れ方なのかもしれない、とふと思った。

本当に強いて言えば、キャリア的にまだやってみたいこと、というのは、もう少し日本から外れたい、発展市場のアジアというベースは失いたくない(無駄な中国語力とかも含め・・・)、引き続きテクノロジーと言うものとは向き合っていたい、そんなところなのではないかな、と思う。そういうものにはアンテナを張りつつ、しばらくはこの状態を無事継続することに注力している次第だ。

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